藤間秋男の老舗企業訪問



歴史
創業 1890年 明治23年
創業132年の歴史を持つ江戸和菓子の老舗
銀座菊廼舎(きくのや)の創業は、銀座の地で着物の洗濯屋をはじめたことから始まるが、顧客が待つ間に出していた和菓子が評判となり和菓子屋に転向した。
創業者の時代を見る目、お客様のニーズを見抜く目により立ち上がった事業にて今に至っている。

歴史の荒波
どの老舗でも経験する戦争や震災などの荒波をやはり受けている。
そして、代々の中に必ず放蕩者も出る。
菊廼舎もまたしかりである。
戦争後に原料が手に入らずその日の売上金で原料を仕入れる自転車操業であった。
他の老舗の千疋屋、虎屋、にんべんなどの老舗も同じように他の業種での営業で凌いでいた歴史がある。
放蕩者がいたため売れてはいたが資金は残らずといった過去も背負っている。
心やすらぐおいしいものを
これが菊廼舎の定めている企業理念であり、本当に受け取った方が喜んでもらえるようなお菓子を作ることが大事だと、井田社長は話す。

すべてはお客様のために。そして和の国の菓子文化のために。
富や幸せを引き寄せる冨貴寄(ふきよせ)というお菓子

冨貴寄(ふきよせ)は菊廼舎が誇れるメインのお菓子であり、一般的には吹き寄せと書くが、冨貴寄と書いて「富や幸せを引き寄せる」という商標登録を取っている製品である。
そのほかにも生菓子で先々代や先代が創作した和菓子はいまも評判である。
井田社長は長い歴史の中で創られた製品の復活にも挑んでいる。

菊廼舎のイメージ一新
菊廼舎のイメージを統一するためのカタログやショッピングバックに、菊廼舎のいまを表現してお客様に浸透させている。
一度退社してまた戻る 井田社長プロフィール
井田社長は大学を卒業するとすぐに菊廼舎に入社したが、菓子より数字をみたり資金繰り等が主だったために、一度辞めてITの会社で5年間働いて戻ってきている。
コロナ渦のいま、ネット販売の重要性が高まっている中なのでIT企業で働いていたことが活きてきていると話す。
そして現場を大事にしているためご自身でも和菓子の免許も持って
真心を込めた和菓子を作っている。
事業承継
まだ、若いため今後についてまだわからないとしながらも、後継者が事業を継ぎたいと思われる会社にしなければならないと話す。
老舗によくあるような何をするにもまずお店を守るということよりもむしろ自分たちの幸せが一番いいのではないかな、という感じだと話す。
思いは叶うー井田社長から
思いは叶うと信じている。
実際に「新しい工場が欲しい」とか「商売安定するといいな」とか「労働環境を改善するといいなあ」など当時本当に休みがなく土日も出て、年末年始も休みがないような状態だったが思っていることを書き出すことで本当に実現したそうだ。
やはり思いを書き出すことで周りを巻き込み、また周りが協力してくれるようになるんだなということを実感しているそうだ。



藤間秋男のひとこと
今まで受けた老舗の中で一番中小企業らしいと本当に感じました。
菊廼舎さんの話は皆さんにとって老舗でなくても中小企業の経営者が悩んでることそのものなんですよね。
皆さんの会社はいろんな人から期待されている
・社員さんからも残ってほしい
・お客さんからも残ってほしい
・地域からも残ってほしい
・地球からも残って欲しい
と思われているわけです。
ぜひ永続企業を目指していただきたいなと思います。
インタビュー動画
日本語版
英語版